SAP ST05は、パフォーマンストレースツールであり、SQLトレースを含むシステム内でのさまざまなデータベース呼び出しやリモート関数呼び出し、テーブルアクセス、HTTP呼び出し等のトレースを実行するために使用されます。このトランザクションにより、開発者やシステム管理者はパフォーマンスの問題を診断し、システムの最適化を行うための重要な情報を収集できます。
ST05の主な機能
- SQLトレース: SQLステートメントの実行とそのパフォーマンスに関するデータを収集します。これには、実行時間、読み込み時間、データベースへの呼び出し回数などが含まれます。
- テーブルアクセスのトレース: プログラムによるテーブルアクセスの詳細をキャプチャし、最適化のための分析情報を提供します。
- RFCトレース: リモート関数呼び出しのトレースを行い、システム間通信のパフォーマンスを分析します。
- HTTP/HTTPSトレース: ウェブベースのトランザクションやサービス呼び出しのトレースを可能にします。
ST05の使用方法
- ST05の実行: SAP GUIで「ST05」と入力し、Enterキーを押してトランザクションを開始します。
- トレースのアクティベーション: トレースを開始する前に、トレースする特定の領域(例:SQL、RFC、HTTP)を選択し、「Activate Trace」をクリックします。または「Activate Trace with Filter」をクリックし、細かいトレースの条件を指定してから実行します。
- トレースデータの収集: トレースをアクティベートした状態で、パフォーマンスを分析したいプロセスやトランザクションを実行します。
- トレースのディアクティベートと分析: 必要なデータを収集した後、トレースを停止し(「Deactivate Trace」または「Deactivate Trace on All Instances」)、「Display Trace」から収集したトレース情報を分析します。
ヒントとベストプラクティス
- トレース時間の最小化: トレースはシステムに負荷をかけるため、必要な情報を得る最小限の時間だけトレースを有効にしましょう。
- データの絞り込み: 収集されるデータ量が多すぎると分析が困難になるため、可能な限りトレース対象を絞り込むことが重要です。
- トレース結果の保存と比較: トレース結果は保存し、異なる時間帯や設定での実行結果と比較することで、より詳細な分析が可能になります。
ST05は、パフォーマンス問題の特定とシステム最適化のための非常に強力なツールです。適切に使用することで、システムの効率を大幅に改善し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。