SAP Basisコンサルに必要なスキルをまとめてみましたので、ご参考ください。
書いていて今更ながら、SAP Basisの守備範囲の広さに眩暈がしそうになりました。
AIに描いてもらった画像の文字がおかしいのは、目を瞑ってあげてください。
MUST 超必須スキル
SAP Basisモジュール
SAPの基盤となるモジュールであり、システムの運用、監視、設定を行います。システムのパフォーマンス最適化やトラブルシューティングに不可欠で、Basis知識はSAP環境において中核となる技術です。
業務の中心となりますので、業務の中や研修で学ぶのはもちろんのこと、オンラインマニュアルやSAP Press、今はYouTubeやUdemyのような学習サイトでも学習することができます。
こちらのブログでも少しずつですがコンテンツを増やしていますので、お役に立てるようになることを願います。
OS(オペレーティングシステム)
SAPシステムは様々なOS上で動作します。LinuxやWindows Serverなど、主要なOSに関する深い理解が必要です。OSレベルでのトラブルシューティングやパフォーマンスチューニングも求められます。
以前はAIXやHP-UXなどのUnix系のスキルも求められましたが、今後はLinuxとWindows Serverが中心となりますので、この2つのOSの学習をすれば良いでしょう。本や資格が揃っているため非常に学習しやすいです。
DB(データベース)
SAPシステムのデータはDBに格納されます。Oracle、SAP HANA、SQL Serverなど、主要なデータベースの管理と最適化の知識が求められます。データベースのパフォーマンスがシステム全体に大きく影響するため、このスキルは不可欠です。
今後の主力はHANAとASE(Sybase)になりますので、この二つのDBの知識を身につけることが望ましいと言えます。HANAはオンラインマニュアルとSAP PressとSAPの資格試験、Sybaseは情報が少なく学習しづらいですがSQL Severが近いので、SQL Serverを学習するのをお勧めします。
基本的なIT知識
コンピューティングの基礎、ITセキュリティの原則など、広範囲にわたるIT知識が求められます。この知識は、SAP環境の理解を深め、より複雑な問題の解決を可能にします。
IPA情報処理試験の基本情報技術者(FE)レベルはマストです。応用情報技術者(AP)や更に上位の資格を勉強することによって、より深いIT知識を体系的に身につけることをお勧めします。
Essential 重要スキル
クラウド
現代のSAP環境の多くはクラウドベースであり、AWS、Azure、Google Cloudなどのプラットフォームで運用されます。クラウド環境の構築、管理、最適化に関する知識は、非常に重要です。
上記にあげた3大クラウドは資格クラウド戦略が成功しており、学習コンテンツが充実していて無料アカウントでハンズオンで学習することもできますので、非常に学習しやすいと思います。
マストに近いスキルではありますが、現場によってはOS/クラウド周りは別にインフラ担当がいて触らせてもらえないこともあります。
ハードウェア
物理的なサーバー、ストレージ、ネットワーク機器など、ハードウェアの選定と管理は、システムのパフォーマンスと信頼性を直接左右します。
以前はマストなスキルと言えましたが、現代はクラウドが主流となっているため超必須スキルではなくなっています。しかし、その考え方や仕組みの裏にはハードウェアがありますので、現時点では必要な知識であると考えます。
ネットワーク
データの伝送とアクセス管理に欠かせないネットワークの知識は、SAPでもシステム間の接続やトラブルシューティングに欠かせない知識となっています。
ネットワークは情報処理技術者試験の中で学習することができ、多くの人はここからネットワークの知識を体系的に身につけていると思います。欲を言えばCiscoのCCNA/CCNPの試験を学習すると、より理解が深まります。
ミドルウェア
アプリケーションとオペレーティングシステムの間で動作するソフトウェアで、SAPではジョブ管理、バックアップ、監視、インターフェース系のミドルウェアが、SAP Basisの担当範囲となります。
ジョブ管理システムとして有名なJP1以外は、学習コンテンツはマニュアルくらいしか存在せず、基本的には現場で学んでいく形になるでしょう。
スクリプト
自動化スクリプト(例えばBash、PowerShell)は、定常的な管理タスクの効率化に貢献します。
SAP BasisはABAPプログラムは記述しないものの、オペレーションの自動化のためにスクリプトを書くことがよくあります。最低でも一つか二つは書けるようにしておくと良いでしょう。
Desirable あったら良いスキル
プロジェクトマネジメント
プロジェクトを計画、実行、監視し、成功に導くためのスキルです。チームメンバーやステークホルダーとのコミュニケーションにも役立ちます。
システム導入、移行、バージョンアップ等のいわゆる構築にあたる業務では、Basis担当でもPMの役割を担うことがあります。PMの経験は社内外に問わずに評価が高いです。
プロジェクトマネジメントの知識は世界的にPMBOKというガイドにまとめられており、PMP試験やプロジェクトマネージャ試験を通して学習することができます。
ただし最近のPMP試験はアジャイル中心の内容となっているため、ウォーターフォール型が中心のSAPプロジェクトとは内容が異なってきている点にはご注意ください。
英語
グローバルなプロジェクトでは、英語でのコミュニケーション能力が求められます。ドキュメントの理解や国際的なチームでの作業が効率的に行えます。
SAPも英語もできる日本人は希少なので、英語ができれば特に転職市場においては有利に働くでしょう。私もスカウトメールだけは大量に届きます。
日本ではTOEICでの学習が一般的ですがスピーキングがないので、オンライン英会話やコーチング式英会話なのでスピーキング能力を養うことが重要です。グローバルプロジェクトでは英語を話せることが必須になります。
業務知識
特定の業界や業務プロセスに関する知識は、クライアントやアプリ担当との会話や、ビジネス要件を深く理解するのに役立ちます。
Basisコンサルタントは、いわゆるインフラ屋に近い存在なので、テクノロジー寄りの知識は多いものの、業務知識は少ない人が多い傾向にあります。私もその一人です。
しかし、クライアントやアプリ担当と会話する場面において最低限の業務知識は必要となるので、身につけておいた方が良いでしょう。会計や製造業系のシステムの教本が役に立ちます。
ABAP
SAPのプログラミング言語であるABAPの知識は、カスタマイズや開発において有用です。
BasisがABAPプログラムを書くことはありませんが、ABAPにまつわる知識はSAPの根幹とも言える内容が多いため、基本的な知識は学んでおくことをお勧めします。今は分かりやすく説明されているブログもあるので、そういった学習コンテンツを利用するのが良いでしょう。
SAP アプリ系モジュール
SAPのアプリ担当を経験してからBasisを経験すると、知識と仕事の幅が非常に広がります。社内で異動ができるなら経験しておいた方が良いかもしれません。
DX/AI
デジタルトランスフォーメーションや人工知能への理解は、イノベーションを推進し、ビジネス価値を創出する上で重要です。
昨今は特にAIにおいてはSAPも力を入れており、否が応でもAI絡みのSAPプロジェクトに今後関わる可能性が高まっています。乗り遅れないよう今のうちに学習しておくことをお勧めします。
SAP BTP
SAP Business Technology Platformの理解は、拡張アプリケーションの開発や統合プロジェクトにおいて有利です。
従来のBasisの仕事では触れてこなかったような機能が多いですが、実際にはインフラ周りの知識がないと理解が難しい部分も多々みられます。今後を見据えて学習しておくことをお勧めします。