SAP Basisキャリアパスの考察 フリーランス編

目次

まえがき

SAP Basisとしてのキャリアを考えるとき、多くの人が大手企業やコンサルティングファームでの経験を第一に考えるかもしれません。しかし、自由度の高い働き方を求めるなら、フリーランスという選択肢も見逃せません。

当方にフリーランスの経験はありませんが、知人に何人かフリーランスの方がいるのと、ブログやYouTubeで発信されている方の話もたくさん聞いているので、そう言った生の声を聞いた上での考察を書いておきたいと思います。

まずはChatGPT 4oにフリーランスとしてのSAP Basisキャリアパスを聞いてみましたので、その回答を見てみましょう。綺麗な回答を出してくれましたので、その回答に対して考察を交えていくような記事を後半に書いています。

ChatGPTの回答

フリーランスとしてのSAP Basisキャリアパス

フリーランスのSAP Basisコンサルタントとして働くことは、自由な働き方と自分のスキルを最大限に活かせる点が大きな魅力です。ここでは、フリーランスとしてのキャリアパス、年収、仕事のホワイト度や激務度について詳しく見ていきましょう。

フリーランスとしてのキャリアパス

1. 経験と専門知識の積み重ね

フリーランスとして独立するためには、まず十分な経験と高度な専門知識が必要です。SIerやコンサルティングファーム、ユーザー企業などでの実務経験を積み、その分野での専門性を確立することが重要です。特に、SAP Basisの専門知識やプロジェクトマネジメントスキルは高く評価されます。

2. 自己ブランディングとネットワーキング

フリーランスとして成功するためには、自分のブランドを確立し、クライアントとのネットワーキングを強化することが必要です。自身の専門性や実績をアピールするためのウェブサイトやLinkedInのプロフィールを充実させ、業界のイベントやセミナーに参加して人脈を広げましょう。

3. プロジェクトの獲得

プロジェクトの獲得は、フリーランスにとって最も重要なステップです。クライアントのニーズに合わせた提案書を作成し、プロジェクトの受注を目指します。また、既存のクライアントとの関係を維持し、継続的なプロジェクトの受注を目指すことも重要です。フリーランス専門の求人サイトやエージェントを利用することも有効です。

4. 実務とクライアント管理

プロジェクトを受注したら、実務に取り掛かります。フリーランスとしての仕事は、プロジェクト管理、クライアントとのコミュニケーション、問題解決など、多岐にわたります。高い専門性と柔軟な対応力が求められます。

5. キャリアアップとスキル向上

フリーランスとして成功を収めるためには、継続的な学習とスキル向上が欠かせません。新しい技術や業界のトレンドを把握し、常に最新の知識を持つことで、クライアントに高い価値を提供できます。また、専門資格の取得や新しいサービスの開発もキャリアアップの一環として重要です。

年収と福利厚生

年収

フリーランスの年収は、プロジェクトの数や規模、クライアントの種類によって大きく変わります。一般的には、年間800万~2000万円以上の収入を得ることが可能です。特に高い専門性や豊富な経験を持つコンサルタントは、さらに高い報酬を得ることができます。

福利厚生

フリーランスは、企業に所属していないため、通常の福利厚生は自分で管理する必要があります。健康保険や年金、所得税などの手続きを自分で行う必要があり、個人事業主としての管理能力が求められます。また、収入の安定性を確保するために、緊急時のための貯蓄や保険の加入も重要です。

仕事のホワイト度や激務度

激務度

フリーランスの仕事は、プロジェクトの進行状況やクライアントの要望によって忙しさが変わります。特に納期が迫っているプロジェクトや緊急対応が必要な場合には、長時間の勤務が求められることもあります。また、複数のプロジェクトを同時に抱えることが多いため、自己管理能力が重要です。

ホワイト度

一方で、フリーランスは自分の働き方を自由にコントロールできる点が大きな魅力です。自分のペースで仕事を進めることができ、休暇も自由に取ることができます。リモートワークが可能なため、場所を選ばずに働くこともできます。ワークライフバランスを保ちながら働ける環境を自分で整えることが可能です。

結論

フリーランスとしてのSAP Basisのキャリアは、自由な働き方と高い専門性を活かした仕事ができる点が大きな魅力です。新入社員としてはまず十分な経験と専門知識を積み、中途社員としてはその経験を活かして独立を目指すことが一般的です。プロジェクトの獲得や自己ブランディングを通じて、安定した収入と充実したプロフェッショナルライフを実現することが可能です。自分のキャリアビジョンに合った働き方を見つけ、成功を目指しましょう。

管理人の考察

上記の通り、ChatGPTではフリーランスとしてのSAP Basisのキャリアパスについて、体系的にわかりやすく教えてくれました。しかし当たり障りのない回答になっていますので、私の考察をいかに書いておきました。前述のとおりフリーランスの経験はありませんので、事実と違っていることを書いていたらX上でお知らせいただければ幸いです。

一度フリーランスになったら戻れない?

ChatGPTは年収800〜2000万円と回答してくれましたが、SAPの仕事は単価が100万円以上が一般的で、コンサルティングファーム経由であれば200万円以上も珍しくないようです。ですので、知り合いのフリーランスの方々は漏れなく年収2000万円を超えており、有名なブロガーの方では3000万円、聞いた話では5000万円いくような方もいらっしゃるそうです。

日本の企業でここまでの収入を得ることは大企業の役員レベルでも難しいケースがほとんどなので、一度このレベルの収入を得られた方は、口を揃えて二度と会社員に戻れないとおっしゃられています。職歴にフリーランス歴があると、一般的には特に大企業では会社員として採用される可能性が極めて低くなりますが、成功されている方にとっては出戻りするという考え自体がなさそうです。

逆に成功しなかった場合に会社員に戻れるか心配されているような場合、世間はあまり優しくないのでやめておいた方が良いと思われます。雇う側の立場のとしては、また辞められてしまう可能性が高いという心象があるからです。フリーランスになられた場合、自営業としてむしろ新たな事業を始めるくらいの志を持って転身されることをお勧めします。

もちろん会社員に戻れないかと言ったらそんなことはなく、特にブティック系コンサルティングファームと呼ばれるコンサルティングファーム出身の方が起業された会社では、社員への給与還元率が非常に高いというような話も聞いています(その場合は雇用体系が契約社員になるのかもしれませんが)。様々なバックグラウンドの方を受け入れられているかと思いますので、フリーランスからの転身もしくは最初からブティック系コンサルティングファームに転身されるのも一つのキャリアパスかと思います。

コンサルティングファーム、大手SIerの職歴が望ましい

フリーランスは会社の後ろ盾が無い分、プロジェクトのアサインや年収交渉に職務経歴が非常に重要になると考えられます。特にSAP業界において、コンサルティングファームや大手SIerの職務経歴は一種の印籠や学歴のような効果があり、それだけで信用を得られることは多少なりもあると思われます。

また、一般的にSAPコンサルタントとしての単価はSIerよりもコンサルティングファームの方が高いので、コンサルティングファーム経由の仕事の方がフリーランスとして高収入が得られると思われます。その場合にコンサルティングファーム出身の方が、雇う側としても安心すると言うよりは仕事のスタイルがフィットしやすいでしょう。

ただ、実際にはSAP Basisコンサルタントは常に人手不足ですので、コンサルティングファームや大手SIerでなくても案件自体の確保は難しくないように思います。ネームバリューよりも実力の世界ですので、実際の仕事でクライアントの信用を得ていけば十分にフリーランスとしてのキャリアを構築できるように思います(と言いつつ、実際に経験があるわけではないので違ったらごめんなさい)。

むしろ高いコミュニケーション能力が求められる?

私の偏見かもしれませんが、SNSを見ているとWeb系のエンジニアで1〜2年の経験を積んだらすぐにフリーランスになるような働き方をされている人が少なくないように思います。また、これも偏見かもしれませんが人付き合いが苦手だったり面倒でフリーランスを目指す方も少なくないように思います。

一方でSAP系のフリーランスの方をSNSで見ていると、SNSの中でネットワーキングをされていたり、ブログやYouTubeをされていたり、むしろコミュニケーションが高いなと感じています。おそらくSAPの仕事は他人とのコミュニケーションや調整ごと、説明力やプレゼンテーション能力を発揮せざるを得ない状況が多いのと、自分で次の仕事の営業をしていかないといけないので、必然的にコミュニケーション能力が高くないとやっていられないのかと推測します。

プロジェクトを選ぶことができる(ある程度)

SAPの仕事をしている方であれば一度は経験したことがあると思いますが、以前はパワハラ体質や長時間労働が常態化していました。今や某大手コンサルティングファームがホワイト化を宣言したことから、あまりに異常なパワハラ現場や契約外の工数は、クライアントに対しても強く異を唱えられるようになってきたと思います。

が、SNSを見ている限り、そうでない現場もだいぶ残っているようです。そのような現場に放り込まれると、会社員の場合は脱出することが難しく、心を病んでしまわれるケースも散見します。

一方、フリーランスであれば契約の範囲内であれば、何かと理由をつけて脱出しやすいのではないか思います。SAPのプロジェクトは無数にあるので、一つのプロジェクトにこだわる必要は無いと個人的には思います。ただしエージェントとの関係に問題が生じる可能性があるので、エージェントとは事前にしっかり話しておくことが重要になるでしょう。

働く場所は選べられる?

コロナ禍により世間一般的にリモートワークが浸透し、特にリモートワークでも仕事が完結できるIT業界では完全リモートワークも珍しくなくなりました。SAP業界においても、基本的にはリモートワークでも十分に仕事を完遂できることが証明されたと思います。

ですが、昨今ではリモートワークからの回帰も進んでおり、週に1日か2日は出社することを求められるようになってきました。これはSAPのプロジェクトにおいても同様と聞いています。ですので、フリーランスであっても週に1日か2日の出社は、基本的には求められると考えた方が良さそうです。

一方で、人材不足でそんなことも言っていられない現場が多いのも事実なので、完全リモートワークの案件も少なくないと思われます。実際に海外や地方でリモートワークで働いている方も何名か知っています。遠くに住んでしまえば雇う側も出社しろとは言えないので、ChatGPTが言うように場所にこだわらない働き方を求められる場合、遠くに引っ越してしまうのが良さそうです。

ちなみに場所にこだわらない働き方と言って、カフェで働くのは情報漏洩の観点からやめた方が良いです。SAPでセキュリティ事故を起こすと数十〜百億単位の損害が発生する可能性があります。もし損害賠償を請求されたら取り返しがつきません。特にBasisは強い権限のユーザアカウントを管理するのが一般的なので尚更です。

会社員ならではのキャリア構築が難しい

フリーランスの方は、基本的には部長や役員を目指す等の出世競争には興味がない(もしくは昔はあったが今はない)と思いますので、一般的なキャリア構築という観点ではあまり問題ではないかと思います。また、会社員でなら受けられたような研修も、フリーランスなら収入が高く自費で外部の研修を受ければ良いだけなので、これも問題ではないと思います。

では何が難しいのかというと大きく2つあり、1つ目はプロジェクトマネージャーのような管理的な立場の仕事に就くことは難しくなります。プロジェクトマネージャーのような仕事は、一般的に自社社員育成のためにもフリーランスを雇う側の立場の方が担うことになります。優秀な方であればリーダークラスであれば、フリーランスの方でも任されるケースは少なくありませんが、プロジェクトマネージャーとなると話は別となります。

例外として私が知っているケースでは、元いた会社のプロジェクトマネージャーがフリーランスとして独立し、元いた会社のプロジェクトマネージャーとしてメインで働かれているケースがあります。また、フリーランスになる前に豊富なプロジェクトマネージャー経験があり、プロパーの社員が諸所の事情で退職されたタイミングでプロジェクトマネージャーを任されるようになったケースも聞いています。

2つ目は海外出張もしくは海外駐在は難しくなります。これは人材育成的な観点からも難しいですが、会社の手続きやビザの関係でそもそも無理という話です。海外で働かれることに興味がある方において、海外出張もしくは海外駐在は非常に大きな経験となりますので、もし興味がある場合は会社員として経験をしてからフリーランスに転身されることをお勧めします。ビザが厳しくない国であればフリーランスとして海外に住みながら働くことも出来ますが、仕事自体は日本の仕事をすることになると思われます。

住宅ローンを組むのは難しい

フリーランスの場合、住宅ローンを組むのが難しくなります。住宅ローンは安定した収入のある方にのみ銀行がお金を貸してくれる金融商品ですので、自営業、外資系、転職してから勤続年数が短い人に対しては審査が厳しくなります。特に自営業であるフリーランスの方は、よほどの自己資金がない限りは住宅ローンを組むことは困難であると考えられます。

日本の現在の住宅ローンは、海外や昔の日本と比較して非常に低金利の状態が続いており、金利が緩和されたにも関わらず変動金利は依然として低い金利を推移しています。一方で首都圏のマンションは高騰が続いておりますので、都内に購入したマンションが数千万円も値上がり、売却して手に入れたお金で地方で豪邸を立ててリモートで働くスタイルに切り替えたという話も珍しくありません。

日本の現在の住宅ローンは「ふるさと納税」と同じで、基本的には使わないと損ですので、会社員からフリーランスに転身される前に組んでおくことをお勧めします(但し、値下がりしないことが見込まれる首都圏のマンションに限ります)。

逆にフリーランスで収入が高くなり数千万円の現金が用意できる場合は、投資ローンで不動産投資をするという手があります。実際に不動産投資をされている方が知り合いにおり、自宅も事務所兼自宅のような形で上手く税制を活用しているようです。

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この記事を書いた人

ただのSAP Basis/インフラエンジニアです。
保有資格:SAP HANA、Azure for SAP、PMP、TOEIC900の凡人。

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